第8回

「3.5間角の家」の可能性②

 

 

伊礼さんによる「i-works2015」基本設計の

 

解説がはじまりました。

 

 

 

 

 

3.5間角(6,370×6,370mm角)の
正方形プランの中に、
4人家族が大らかに楽しく暮らせるよう 
計画されたプラン。

 

 

一階は、

 

キッチンをL型として
ダイニング・洗面室とを回遊できる
間取りとしながら、リビング横の
開口部を大きく開くことで外光を室内に
取り込む。

 

その開口部の近くにベンチを置き、
家族がゆったりと居心地よく
過ごすことができる。

 

開口部には様々な仕掛けがある。

引き込める木製サッシ、
外光をほどよく遮蔽する「ガラリ」、
レースのカーテン障子などを重ね
その開き方の調整で室内の雰囲気、
外部とのつながり方に変化を
演出できる。 

 

 

 

 

二階の居室は
はじめは大きく開いておき、
その後仕切って二部屋、三部屋と変化。

バルコニーも二階に設ける。

 

 

建物を敷地いっぱいにつくるのではなく、
小さく建てて、
外回りもしっかりと歩き回れるデザインとする。

 

外観は、軒は出ていないが
庇は大きく出すデザインとする。
小さな家の場合、軒と庇はプロポーションに
大きく影響する要素。
ここを丁寧に考えることが
とても大切である……、と。 

 

 

 

伊礼さんが居心地のよい住宅設計の中で
追求してきた「設計の標準化」の手法が
浴室やキッチン、玄関などあちこちに
活かされたプラン。

 

 

「デザイン×性能×コスト」のバランスに
取り組むと同時に、
そこに住む家族の
「時間の変化に対応する」という
テーマを設定し、
一つの解答を導きだしていました。 

 

 

3.5間角という限られた空間の中に

いかに要素をおさめていったのか、 

計画の意図を
一つひとつ解説してくださいました。

 

 

この日は、
「3.5間角・一階リビング」プランだけでなく、 

「3.5間角・二階リビング」 や「3.5間×4間」プランも
お披露目されました。
残念ながらここではご紹介できないのですが
お見せできないのがもったいないほど
素敵なプランでした!

 
 

 

 

 

(伊礼さん)

 

『 3.5間角で延床25坪という小さな家を
 モデルハウスで建築するということは
 ある意味でとてもチャレンジング。
 思いきって取り組めたら
 住宅建築で一石を投じるものに

 なるんじゃないかな』

 

 その言葉に、
プランにこめた
伊礼さんの意気込みや想いが

かくされているようにも感じました。 

 

 

 

 

『そして、もう一つ』

 

 

 

伊礼さんの解説が続きます。

 

 

 

 

 

 

提案されたのは、
3.5間角に下屋空間を足したプラン。

 

 

 

 

 

 

下屋部分には

リビングから床が一段下がった
和室とウォーク・イン・クローゼットが
設けられ、よりゆったりと
暮らせる提案となっていました。

 

 

3.5間角で4人家族が想定とすると
下屋をつけることで5人家族が
暮らせるプランと言えるものです。 

 

 

 

伊礼さんの目線から

下屋をつける場合とつけない場合について

それぞれの良さが
解説されていきました。

 

 

 

……さて問題は、
どちらのプランをもとに

「i-works2015」のモデルハウスを

建築するか——ということです。

 

 

 

 

それぞれの建物のイメージを
思い描きながらも迷うスタッフ。 

 

 

 

それもそのはず、

モデルハウスとして建築した場合、
完成後にお客様をご案内し

その空間を体感していただく中で、 

 

「どんな広さで、どんなプランのモデルハウスか」

 

ということが、
工務店が心からおすすめする

住まいを体現するものとなるからです。 

 

 

「3.5間角」という思い切った提案とするか、

そこに下屋をつけたバリエーションを提案するか……。

 

 

 

 

写真:3.5×3.5+下屋 

 

 

 

 

スタッフ一人ひとりの言葉や感覚を

たしかめていくも、やはり意見は割れます。

 

 

 

多数決をとると何と真っ二つに分かれる結果に(!)

これもまた、真剣勝負なのかもしれません。

 

 

 

 

しばらくの葛藤の時間の後、

最終的な結論が。

 

『 3.5間角の提案は魅力的。

 でもそこに下屋を付け加えることで
 プランのバリエーションが無限に
  広がるんだという考えがある。
  今回は下屋つきでいきたい』 

 

と、相羽健太郎の決断がなされたのでした。

 

 

 

 

 

さあ、この日の会議で
「i-works2015」の大きな方向性が
固まりました。

 

 

一つの建築のプランにこめられた

建築家の想い。

シンプルなデザインに結実した中に

本当に多くの要素、考えが

隠されていることを実感した時間でした。

 

以前読んだ建築家の吉村順三さんの本に
書かれていた『1本の線』という言葉を思い出しました。

伊礼さんのスタンスは
その言葉にもつながるのだ、と感じます。 

 

 

 

 

 

『1本の線』

 

 
「きみたちがなにげなく直線をさっと引いたために
 職人も泣くしクライアントもよけいな出費をする。
 そのうえホコリなどたまって外観もきたなくなり、
 みんながいやな思いをすることがあるんだよ。
 だから1本の線が大切だ」

 

          吉村順三「建築は詩」より

 

 

 

 

この夏の会議の後、

伊礼智設計室による実施設計が進められていくことになります。

 

次回は、
秋から着工した「つむじ」の現場で
「i-works2015」の工事が行われていく
様子をお伝えします。

 

 

 

 

(第9回へ続く)

2015.02.10