部屋と庭を結ぶ縁側のある家

ご夫妻と、元気な息子さん2人の4人でこの家に暮らすK様。家づくりを考え始めたのは2人目の息子さんが生まれた頃だそうです。「土地探しには1年以上かかりました。国立・武蔵小金井・町田・八王子など何箇所も見て周り、結果的に実家にも近いこの土地に決めました」とご主人。近隣には森や畑もあり、都心へのアクセスも良好ながら自然と触れ合って暮らすことができることも、この土地を選んだ決め手だったといいます。

「この家に暮らして特に気に入っているところは、庭とリビングの繋がりです。縁側にはあえて柱を設けて、籠り感を出せるようにとお願いしました」とご主人。もともと寺社仏閣や日本庭園がお好きで、造園家の小林賢二さんと共にお庭に選んだシンボルツリーはモミジ。秋には縁側から鮮やかな紅葉を眺めることもできます。

遊び盛りの息子さんたちも、縁側と庭、玄関を裸足で走り、のびのびと過ごしています。「子どもたちに我慢させることが減って戸建てにしてよかったです。近所には同年代の子もいて仲良くしてもらっています」と奥様。葉についた幼虫に名前をつけたり、メジロが遊びに来て観察してお庭で過ごす時間を楽しまれているそう。この春小学校に入学したお兄ちゃんも、この家と庭が好きと話してくれました。

上下階それぞれにある洗面は奥様のこだわりが詰まっています。1階は鏡裏に化粧品が収納されていて、座ってお化粧が可能。２階はアイロンをかけたり染み抜きをするランドリースペースとしても活用されています。キッチンは家族の様子を見ながら調理ができるように対面型を選び、お料理好きのご主人も頻繁にキッチンに立つのだとか。

延床面積が24坪のK邸。モデルハウスつむじにある伊礼智さん設計の
企画住宅『i-works2015』に近い広さで、モデルハウスを見て暮らしをイメージしやすかったそう。「以前お住まいだった家に訪問した際すっきり暮されていたので、コンパクトな家でも大丈夫だと思い当初28坪予定だったところを24坪に変更してご提案しました。K様ご夫妻の価値観が素敵で、庭のある暮らしの豊かさにも共感していただきました」と話すのは、設計を担当した松本。ご家族がいい距離感で過ごせる設計の工夫がちりばめられています。

子ども部屋とワークスペース、畳の寝室がある2階をご紹介します。設計段階ではワークスペースの部分はクローゼットにする案もありましたが、ご夫妻がリモートワークをしたり子どもたちが勉強をして、家族で使う空間になりました。子ども部屋は仕切りがなく掃除しやすいところもポイント。勉強スペースを部屋の外に設けているので、子どもたちの成長に合わせてスペースを半分に仕切ったり、ベッドやクローゼットを設えていく予定です。取材時はお兄ちゃんがテーブルの上で、黙々とレゴブロックで遊んでいました。

これからどんな暮らしをしていきたいかご夫妻に伺うと、部屋の仕切りが少ないので家具のレイアウトを変えたり、変化を楽しんでいきたいとのこと。他にも、近所の人や親族を呼んで縁側で食事をしたいと展望をお話しいただきました。奥様は「のんびりゆったりが我が家のテーマです（笑）無垢の床なのでそのまま寝転がれたり、裸足で過ごすことができてとても快適。テレビドラマを見て憧れていた、縁側でお酒を飲んでゆっくりするということも実現したいです」とお話しくださいました。家の裏手は秘密基地になっていたり、思いおもいの場所でのびのび過ごす息子さんたちもこの家を満喫している様子。子どもたちの成長や暮らしの変化、空間の自由度といった余白に、想像を巡らす楽しみがある住まいです。