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地域のひと
それぞれの作りたい、に応えて優しく背中をおしてくれる「月下陶房」
自作のアトリエはまるでサロン。和気あいあい、自然と素敵な仲間が集まります。
- 話し手:
- 月下陶房
西田 修さん・西田 綾子さん - 建物名:
- 月下陶房アトリエ
- 場 所:
- 埼玉県所沢市
People
教室で陶芸を教えてくれるのは、多くは語らないけれどチャーミングな印象の修先生。
広報とアドバイス担当の綾子さんとの掛け合いが楽しい月下陶房のお教室は笑顔が絶えません。
みんなで楽しむ、自分も楽しむ
相羽建設との出会いはあいばこのイベント「はこづくり」開催がきっかけでした。
綾子さんからお声掛けいただいた当初、あいばこでは出展者としてご参加いただけるイベントがなく、それならば、と主催者側になってイベントを立ち上げてくださいました。
企画しはじめたらあれもこれもやってみたい、出展者も楽しめるイベントにしたい、なぜなら出展者が楽しいときっとお客さんも楽しいから――そう構想を練ってスタートした「はこづくり」。実際にイベントを体感した私たちにとってもその心意気は充分に伝わる場となっていました。出店の方には陶芸教室の生徒さんも多く、「いつかは生徒さんの作品展も開催したいわ」とお話くださいました。
綾子さんが語る修先生と月下陶房
何年も前から修先生と制作活動をともにしてきたという綾子さん。「最近あらためて、私はやっぱり月下陶房の器が好きなんだと実感しているんです。もともと彫塑をされていた修先生の造形力は、表現方法が陶芸に変わってもやはり美しい」と語ります。「頭の中にある形を作れるっていうのは才能だと思うのよ、私にはその造形力が無いから色や形のデザインで遊ぶしかないんです」と笑って謙遜されていました。
2010年からこの場所に移った月下陶房のアトリエは、入口の扉から床張り、食器棚までなんとすべて修先生の手作り。自作とは思えない素敵な空間には優しい光が入ります。
化学変化のむこう側へ
土や釉薬、形の組合せで「これは間違いない」という無難な組みあわせもあるけれど、せっかくきたのだからぜひチャレンジをしてほしい――。
「これは失敗か?」窯から出してそう思った作品が意外にも好評で、生徒さんを通して広がり、今では定番になったものもあるのだとか。どうしてこうなったのかわからないけれど、すごく素敵……そんな作品もあるそうです。読めないからこそ面白い。
修先生にならって形を追求するのもよし、綾子さんとデザインを楽しむのもよし、どちらも楽しめるお教室は使う釉薬もほぼオリジナル。参加当日に偶然出会う他の生徒さんの作品をみて「それ良いですね」とつくるものを軌道修正することも。
いろんな化学反応を経て出来上がる作品は唯一無二です。日常使いの器だからこそ、この器に何を盛ろうか、考えながらすすめる作品つくりは楽しいですね。
取材後記
取材当日は修先生の器で綾子さんの作る美味しいランチを頂き至福の時間……。
月下陶房の看板猫ナルトも顔をだしてくれました。
(記:あいばこスタッフ 中村薫)
・多摩美術大学建築学科卒 2011年より勤務
・自身も月下陶房に通っています
【2024年追記】
記事で取材をさせていただいた月下工房の西田修先生が
持病悪化のために2024年4月に急逝されました。
生前のご厚情に感謝し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。