木の家づくり100Taiken
つくる
『棕櫚(シュロ)のホウキ』をワークショップでつくろう!
手しごとフェスタ2018|棕櫚の木や自然の素材から、暮らしの道具をつくる
- 体験名:
- 「木のホウキづくり」ワークショップ
- 話し手:
- 相羽建設広報部
伊藤夕歩 - 場 所:
- AIBAワークス(東村山市)・西多摩郡日の出町
Taiken
2018年夏の「手しごとフェスタ」で初めてワークショップラインナップに加わる「木のホウキ」づくり。
素材となる「棕櫚(シュロ)の木」の採集から、それをどんな風に加工して、木のホウキができるのか。イベント企画中の現場からお伝えします!
木と手しごとを満喫する一日、「手しごとフェスタ」
「わたし達が家づくりで使っている『木』という素材の魅力や『手仕事』の楽しさを知ってもらいたい!」
――そんな想いからはじまった「手しごとフェスタ」。
2018年夏のフェスタのテーマは「おくりもの」。
家族や友人、大切なあの人にプレゼントしたい、木の道具や小物をワークショップでつくります。
開催日である7月22日に向けて、相羽建設のスタッフみんなで企画や準備を進めています。
新たな企画「木のホウキ」ワークショップ
5年目の開催となる今年のフェスタでは、ワークショップに新たなラインナップが加わります。その一つが「棕櫚(シュロ)の木」の皮の繊維でつくる「木のホウキ」です。
皆さんはシュロの木ってご存知ですか??
よく、熱帯の方にありそうな木というイメージでしたが、椰子(やし)の仲間で、実は日本では昔から暮らしの道具をシュロの木でつくってきたのだそうです。和歌山では、今でもシュロの木を育てて、その皮を剥いで繊維にしたものを用いてホウキづくりやタワシづくりが行われています。
自然素材の木が原料となるため、使用する際に静電気が起きず使いやすく、部屋の掃除でも重宝されているシュロのホウキ。実はシュロの皮に含まれる油が天然のワックスとなるため、木の家の無垢材の床にもとても相性が良いのだそう。使えば使うほど、床にツヤツヤになる……すばらしい道具です。
まずは素材採集に、西多摩郡の山へーー
素材となる「棕櫚(シュロ)の木」は東京都西多摩郡日の出町の山から木を伐り出して作ります。
実はこちらは、工事部の現場監督である樋口美早紀さん(100Peopleでの紹介記事はこちらから)のご実家の山。樋口家の多大なるご協力のもと、自然豊かな日の出町の森からシュロの木をいただけることになりました。
棕櫚(シュロ)の木を発見!
常緑高木であるシュロ。昔から装飾樹種として造園でも好まれてきました。九州の一部の地域では自生していたり、寒さに強いため、東北地方まで栽培されているのだとか。排水良好な土地を好む一方で、乾湿・陰陽の土地条件を選ばず、耐火性と耐潮性を併せ持つ強健な樹種。生育は遅めで、管理が少なく済み手間がかからないことも魅力です(ウィキペディア調べ)。
場面は日の出町の山に戻ります。
たくさんの樹々が生きる森を歩いていった渡邉監督。ほどなくして自生していた「シュロの木」を発見!
葉っぱが少し垂れ下がった「ワジュロ」で、幹の先端に扇状に葉柄を広げて数十枚の熊手型の葉をつけています。幹を暗褐色の繊維質が包んでおり、これをシュロの樹皮といいます。加工された樹皮の繊維質は湿気に強く腐りにくく、伸縮性にも富むことから、縄や敷物、ホウキやタワシに利用されています。
持ち帰ったシュロの樹皮をほぐし、研いでいく
日の出町の山で伐って、東村山の加工場に持ち帰ってきたシュロの木から、樹皮を剥がしていきます。樹皮は細い繊維質が絡み合っているため、そのままではホウキの素材には使えません。
樹皮をほぐしたり、水洗いしながら研いでいく作業が必要になります。
ホウキづくりの順序
写真はホウキづくりの順序を説明したもの。
1 ホウキの柄(え)となる木とシュロの皮を用意
2 長めの皮を柄の先端から持ち手方向に向けて巻きつける
3 2で巻いた皮と反対方向に向けて短めの皮を巻きつける
4 2の皮を折り返して3の皮に巻きつけていく
5 さらに折り返していく
6 ホウキに巻きつけた皮全体を整えて針金で固定する
実際のワークショップでは、シュロの皮を整えたり手でほぐしたりした後で上記の工程でホウキづくりを行います。所要時間は30分〜1時間弱ほど。
自然の素材から暮らしの道具をつくること
山からいただいた本物の素材と、それを自分の手で作る、「木のホウキ」。
自然の素材がどんな風に加工され、暮らしの道具になっていくかを自らの手で体験できるワークショップで、特に子どもたちにとって特別な時間になるはずです。僕たち相羽建設にとっても初めての試みとなり、とてもワクワクしながら準備をしているフェスタのラインナップです。
ホウキづくり体験を通して得られるコト
ーーいかがでしたでしょうか。
記事だけでは伝わらないこと、特にシュロの木が自生していた山や森の空気、伐り出した際の木の重さや匂いなどはなかなか体験できないものの、その素材を実際に手にとっていただきながら、ワークショップを行います。
僕たちが現代で生活をおくる時、暮らしに必要な道具や服、小物など、大抵のものはどこかのお店で購入したり、ほぼ完成した状態のものが多いのではと思います。今回、ホウキづくり体験で自然素材を用いたワークショップとして準備をする中で、とてもいいなと感じたのは、「自分たちの生活の拠点である住まいを毎日掃除してきれいにすること。それを、自分がつくった道具でやれること」でした。
家族の住まいや自分の居場所を、ますます大切にしたくなる暮らしの道具「木のホウキ」。
あなたも一緒につくってみませんか。ご参加をお待ちしています。
Movie
手しごとフェスタ2018「木のホウキ」
はじめてのワークショップ「木のホウキ」の試作で完成したホウキを使う様子です。
取材後記
「木のホウキをどんな人に作ったり、使ってほしいですか??」と渡邉監督に質問してみました。
帰ってきた答えは、「お掃除をしたい子ども達と、魔法で空を飛びたい大人だな」と(笑)
ホウキづくりの試作中、渡邉監督が作るホウキを持ってみんなが楽しそうで、ワクワクしていました。その様子もふくめてワークショップの面白いところ、ものづくりの魅力なんだと感じたのでした。(広報部・伊藤)
話し手プロフィール
工事部・課長
渡邉 拓也
『確かな技術と経験で現場を取り仕切るリーダー』
部署:工事部課長
一問一答:
Q.仕事をやっていて嬉しかったこと、やりがいに感じていることは?
A.嬉しいときは、住まい手さんが建てた家を大事に住んでいただいていると感じた時です。
好きな食べもの:ラーメン
フリーコーナー:ビールを飲むのが好きです。お店で飲むのではなく、家飲みで十分ですが、仕事が終わって家に帰って飲む、ビールは最高です。