住まいの実例100Life
![レイヤードハウス](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/0.jpg)
建築家と建てる家
レイヤードハウス
「レイヤード」で街と柔らかくつながる家
- 建物名:
- 木造平家建て「レイヤードハウス」(建築家と建てる家)
- 場 所:
- 東京都調布市
- 住い手:
- A邸(ご家族3人)
![](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/19-1280x720.jpg)
Life
『平屋』という憧れの言葉に期待を膨らませながら閑静な住宅街を歩いていくと、すっと視線が抜ける一角が。大きな屋根に、落ち着いた色味の塗り壁。真っ直ぐ横に伸びた木塀からは広くて素敵な庭があるのだろうな、とイメージさせるように様々な木々が顔をのぞかせています。建替えと聞いても元の家が想像つかないほど、街の空気と調和するように、大らかで上品な佇まいに、思わずうっとりしてしまいます。
みどころ、こだわりをA様、設計の島田さんに伺いました。
コンパクトに穏やかに暮らす
以前の住まいは築60年を超えた2階建。「もうね、本当に斜めに傾いていたんですよ」と笑顔で話すA様ご家族。
ずっと暮らしてきた愛着のある家の建替え——ウスメーカーの規格住宅を探してもなかなか納得がいかず、建築情報誌を読み込んで理想の住まいを深く考えたそうです。本で知った相羽建設に相談する中で、しまだ設計室の住宅に強く惹かれ、設計を依頼することにしました。
![平家の外観。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/1-3-1280x720.jpg)
「家族構成や年齢も考えてコンパクトな平屋にしたいというのは最初から決めていました。歳を重ね、物は必要最小限にして、シンプルな空間で穏やかに暮らしたくて」とA様。「最近、家に帰ると本当に落ち着きますね。”やっぱりうちは素敵だね”っていつも家族で話しています」と、新しい住まいに満足していらっしゃるご様子です。
![玄関アプローチ。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/4-1-640x853.jpg)
![アプローチ横の手すり。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/5-1-640x853.jpg)
![和室からの庭の景色。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/3-1-640x853.jpg)
「重ね着」するように街と柔らかく繋ぐ
「設計条件(角地・広い土地・平屋)を考えた時、外との関係性がポイントだと感じました。木ルーバー塀、植栽、腰壁、デッキ等の要素を『レイヤード』(重ね着)するように設え、街と家を柔らかく繋いでいくイメージにしました」と島田さん。言葉通り、室内は大窓のブラインドを引かずとも通行人の視線は気にならず、光と風と庭の景色をとり込み、穏やかな時間が流れる空間となっています。
![南向きの大窓から陽がたっぷりと差し込むリビングダイニング。気になる通行人の視線は遮りつつ、囲まれても窮屈に感じない木塀までの距離と高さに「レイヤード」を感じる。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/0-1280x720.jpg)
![家族団欒を過ごす大きなダイニングテーブルはhyakkaさんでオーダー。チェリーの木肌が滑らかで心地いい。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/8-1-640x360.jpg)
![陽が差し込む窓辺のソファースペース。ご主人は天気がいい日にはデッキで読書を楽しまれることもあるのだとか。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/6-1-640x360.jpg)
住み心地を訊ねると、「住んで改めて”丁寧なつくりだな”と感じます。壁や天井が本当に綺麗に仕上がっていて、つい見入ってしまいます。建具がぴたっと納まる感覚も気持ちがいいですね」というA様に、「そういう時間を過ごしてもらえるのは嬉しいです。無意識に体が感じていることで満足感が得られる、改めて職人さんってすごいですね」と島田さん。『レイヤード』に包まれた落ち着いた空間で職人の手仕事を日々感じる。心穏やかで充実した暮らしが窺えます。
![小屋裏は荷物置き場になってしまうからとつくらず、天井高を高くとったリビング。 キッチン横の和室はちょっと休憩するときや、室内干しスペースとしても重宝。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/7-1-1280x720.jpg)
![キッチンは玄関横に配置し、買い物動線、ゴミ出し動線をスムーズに。建替えを機に物を減らし、すっきりしたキッチン。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/9-1-640x853.jpg)
![奥様が便利!と太鼓判を押す、「トールユニット収納」。大容量ながら軽く引き出せて、一目で見つかるのも◎。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/10-1-640x853.jpg)
“大人家族”のちょうどいい距離感
「家の中央にダイニングを配置し、そのまわりに居場所や個室を設えることで、廊下を設けていません。それぞれの時間を過ごしながらも、お互いの気配が感じられる、引き戸で距離感を調整できるプランです」(しまだ設計室・「レイヤードハウス」コンセプトより)。
![個室はリビングの東側に配置。夫婦の寝室の二つ並んだ扉が可愛らしい印象。共用クローゼットの建具はなくし、目隠しにカーテンを設置した。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/11-1-1280x720.jpg)
![洗面室はオープンなつくりで、トイレ、脱衣室につながる配置。脱衣室には洗濯機とガス乾燥機の他にタオルや下着類などの収納スペースも確保した。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/12-1-640x853.jpg)
収納に関しては、建替えを機にものを減らし、収納量を事前に細かく打ち合わせたそう。各個室に大きな造作収納を設け、個人のものは個室に、その他の季節物の衣類や大きなものは共用クローゼットに収納することで、平屋で小屋裏がなくともすっきりと綺麗に保たれています。
![各個室に収納を設置。普段よく使う物、衣服は各個室に配し、その他は共用クローゼットに収納。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/15-1-1280x720.jpg)
![ご夫婦の寝室の間は家具とロールスクリーンで間仕切る。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/16-640x853.jpg)
![娘さんのお部屋。一室にまとめられるよう、収納を多めに。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/17-640x853.jpg)
![玄関は室内と段差のないバリアフリー仕様。右手の扉からキッチンに直結する家事動線が嬉しい。リビングの手前に洗面があるので、手洗い動線も完璧。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/13-1-640x853.jpg)
![アプローチスロープの突き当たりの玄関ポーチに掃除道具やゴルフ用品などを収納する外物置を設けたことで、玄関はすっきり。](https://aibaeco.co.jp/100story/cms/wp-content/uploads/2023/01/14-1-640x853.jpg)
物理的に距離がなくとも互いにちょうどいい距離感を保ち、極力ものを減らしてしっかり管理する——まさに仲のいい“大人家族”のA様ご家族ならではの住まいです。
設計:しまだ設計室
施工:相羽建設…棟梁 徳武 義訓・工事 橋詰 玄
竣工写真:西川 公朗
撮影取材:島田 貴史(しまだ設計室)・中村 桃子・猪股 恵利子(相羽建設)
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