住まいの実例100Life
建築家と建てる家
いとう家の住宅
箸置きから建築まで。小泉誠さんとつくる24坪の暮らし。
- 場 所:
- 東京都東村山市
- 住い手:
- 伊藤邸(ご夫婦+お子様1人)
Life
2023年2月に完成した広報スタッフ伊藤夫妻の住む「いとう家の住宅」をご紹介します。設計は、これまで『わざわ座』の活動で長く協働し、相羽建設の拠点も複数手がける家具デザイナーの小泉誠さん。コロナ禍に家づくりをはじめ、途中で息子さんも生まれて生活が大きく変化する中で完成に至りました。
家具デザイナー小泉誠さんとの家づくり
小泉さんへの依頼内容は『人間らしく季節や時間の移ろいを感じる暮らし・小上がり畳・働ける家』という3点。「小泉さんと家づくりをしていく中で、プロセスを大切にするという考え方を実感し、ものづくりに対する考え方や姿勢を改めて学ぶことができました」と奥様の碧さん。具体的な間取りや仕様は、家具デザイナーとして活躍されている小泉さんにお任せすることが一番だと考えて、依頼する内容は“暮らし方”の部分を中心に打ち合わせを進めていきました。
全館空調のパッシブエアコンを採用した伊藤家。「家の断熱性能が高いことも要因ですが、暖かい・涼しいというだけではなく空気が澄んでいるように感じます」と碧さん。普段の暮らしだけではなく『仕事もできる家に』という、家で長い時間を過ごすことが前提の中で、温熱環境を整えることは1つのテーマだったといいます。碧さんが生まれ育った家に畳があり、息子さんにも日本の文化である畳の魅力を感じてほしいという想いから、小上がりの畳も要望されました。「仕事でお客様に取材をする中で、家づくりのきっかけは子どもや家族のためという言葉をよくお聞きしました。実際に自分たちが家づくりを考えた時にも、大事にしたいと感じたのはこの家族への想いの部分でした。」と碧さん。
「前年に相羽建設本社のリノベーションをして、そこで使われていた登米町森林組合の木材を床材として使いたいと考えていました。僕は広葉樹の栗を希望していて、碧さんは柔らかい針葉樹を希望していました。結果的に子どものことも考えて針葉樹の赤松を採用しましたが、ここはちょっとだけ夫婦で揉めたところです(笑)」と伊藤さん。温熱環境のことや、暮らしのイメージ、使用している材など、普段から家づくりに携わるお二人ならではのこだわりが詰まった空間です。
1階北側のデッキはお友達が遊びにきた時にバーベキューをしたり、インドアグリーンの水やりをしたり、息子さんの外遊びに活躍したりと、とても重宝しています。北側であることから夏の直射日光もある程度避けることができて快適に過ごせるのだそう。デッキや下屋側に設けられた縁側など、庭に近い居場所を設けたことで、四季の移ろいを感じて暮らしている実感が沸いたといいます。
自然素材の家に暮らして
自然素材の家に暮らして1年が経つ伊藤夫妻。「自然素材の家や庭のある暮らしはメンテナンスなど手間がかかると懸念される方も多いですが、その手間こそがまさに豊かな暮らしにつながると気づきました」と碧さん。
伊藤さんにこれから家づくりをする方へのアドバイスを伺ったところ「色々な家を見て自分の好みや暮らしのイメージを伝えた上で、設計者にお任せすること、信頼できるつくり手を見つけることが大切です」と話してくださいました。
Movie
【ルームツアー】心地よく暮らし、仕事ができる「くらしごと」。家具デザイナー小泉誠さんが手がける24坪の住まい
広報スタッフ伊藤夫妻が住む住宅をご紹介します!
「いとう家の住宅」を設計した家具デザイナー小泉誠さんによるルームツアーになっています。ぜひ動画でご覧ください。
設計:小泉誠+Koizumi Studio
設計サポート:城丸智也
大工:小林優太、谷口智也、上小園光虹
監督:渡邉拓也、麻生莉紗子
造園:小林賢二アトリエ
写真:Nacása & Partners Inc.(一部相羽建設)
取材:中村桃子(相羽建設)