住まいの実例100Life
木造施設
まつぼっくり保育園(東京都羽村市|木造施設)
大きなおうちのような木造の保育園
- 建物名:
- まつぼっくり保育園(木造保育施設)
- 場 所:
- 東京都羽村市
- 住い手:
- 園長:橋本美佐子先生
Life
今回ご紹介するのは、羽村市にある「まつぼっくり保育園」。
こちらは築45年のRC造の建物から、2015年の春に新しく木造施設へと建て替えられた保育施設です。
完成から1年が経ち、子どもたちや先生は新しい園舎でどのように過ごされているのでしょうか?
門をあけると奥から聞こえてくる、子どもたちの元気な笑い声。
わくわくしながら建物の中へ入ると、エントランスホールにはチョーク作家さんの作品や子どもたちの絵が展示されていて小さな美術館のようになっていました。
所々に無垢の木が使われていて、やわらかい印象にほっとする空間。
どのようにしてこの場所がつくられたのか、園長の橋本先生にお話を伺いました。
大きな家のような場所へ
「園長先生の考える保育園ってなんですか?」。
これは計画当初、設計担当の袴田喜夫建築設計室さんからの最初の質問だったそうです。
「その時はまさか自分の想いがかたちになるとは思いもせず、”こんな保育園にしたい……”という希望をいくつかお話しました」
と園長先生。
その中のひとつが”大きな家のような場所”でした。
一日の中で自宅よりも保育園で過ごす時間の方が長い。これは保育園に通う子どもたちだけではなく、ここで働く先生たちにとっても同じことが言えます。
「せっかくなら施設ではなく、ちょっと大きな第二のわが家としてリラックスしながら過ごしてもらいたい」。
”大きな家のような場所”とはそんな園長先生の想いが込められたものでした。
そこから材料は身体にやさしい自然素材を使ったり、教室の天井を住宅と同じスケールにして安心感を出したり、普段過ごしている家に近いかたちの園舎が完成したのです。
今では0~5才児の80人以上の子どもたちが通い、40人の先生たちが働いているまつぼっくり保育園。
園全体が先生や子どもたちの明るい笑顔であふれていました。
食べて育つ
「子どもたちの豊かな発想力や自発性を育みたい」。
そんな園長先生の想いのもと、ランチタイムにはちょっと変わった工夫がありました。
3~5才児の子どもたちはバイキング形式で、食堂で座る場所も自由に選べます。自らご飯をよそうことで、自分の食べられる量を知り「次はこのくらいの量にしよう」と学び、考える力が育まれます。
また器も樹脂ではなく、落としたら割れてしまう陶器のお皿をあえて利用することで「物を大切に扱おう」という気づきにもなっているそうです。
一緒に過ごして、一緒に育つ
0~5才児の子どもたちが自然に交流できるようにと、中庭をはさんで各年齢の教室が向かい合わせになるように設計された園舎。
年上の子が何かに取り組んだり、助け合ったりする様子を年下の子が見て覚えたり。先生たちも担当クラス以外の子どもたちとの交流があることで、名前はもちろん、どんな子たちがいるのか把握でき、園全体で子どもたちを見守ることができるのです。
ひとつの大きな屋根の下、大人も子どもも楽しそうに笑顔で過ごしている様子は、まるで大家族のようなあたたかさがありました。
建物・空間紹介(竣工時)
Movie
まつぼっくり保育園(冬の様子)
「まつぼっくり保育園」では、子ども達のじょうぶな身体・豊かな心を育もうと、『体感』や『食育』を大切に考えた保育に取り組んでいます。
2016年の11月、園をたずね、子ども達の表情や同園で働く先生たちのお話をお聞きしました。
物件データ
竣工 | 2015年3月 |
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敷地面積 | 1169.30平米(353.71坪) |
建築面積 | 588.65平米(178.06坪) |
施工:相羽建設株式会社
設計監理:袴田喜夫建築設計室
竣工写真:アトリエ飯嶋
取材後記
まつぼくり保育園が完成したばかりの頃、竣工写真を撮りに一度こちらへ訪れました。まだ家具が入る前だったので「これから子どもたちがどんなふうに過ごすのだろう?」とずっと気になっていたので念願の取材をさせて頂くことができ、とても嬉しかったです。園長先生の想いや、先生や子どもたちのキラキラした笑顔にたくさん元気をいただきました!
(記:広報 吉川)