住まいの実例100Life
建築家と建てる家
kotaハウス
毎日、帰宅するとほっとする緑に包まれた赤い屋根の“小屋”
- 建物名:
- kotaハウス
- 場 所:
- 東京都
- 住い手:
- N邸(ご夫婦+猫2匹)
Life
東京都内、古き良きお店と新しいおしゃれなショップが混在しながら並び、歩いているだけでも楽しい商店街を抜けると、すっと静かな住宅街に。その一角、ひときわ濃い緑に囲まれた赤い三角屋根のお家が今回ご紹介するN様邸、『kota(コタ)ハウス』です。
フィンランド語で【小屋】を意味する【kota】。味噌や梅干しを手作りしたり、ザックを背負って山登りを楽しまれているご夫婦の暮らしぶりから、周囲の自然になじんで佇んでいるシンプルな小屋のような、そんなお家になるようにと建築家の島田さん(しまだ設計室)が名付けました。赤い屋根は、登山者をあたかく迎える山小屋をイメージし、(実際山小屋は赤屋根が多いそう)「ああ、帰ってきた」と安心できるような家でありたいというN様の想いも込められています。
家づくりの最中、親御さんの介護を経験し、アプローチは当初の階段から緩やかなスロープでぐるりと回るかたちに設計変更されたそう。緑のトンネルを潜るように玄関にたどり着くことで、家への期待が一層高まります。きっとご夫婦にとっては一呼吸おける、ほっとするアプローチにもなっているのではないでしょうか。
「心からくつろげる家にしたかった」と語るN様ご夫婦。家づくりのストーリーや暮らしの魅力を島田さんと共に伺いました。
光と緑、炎を感じながら、心からくつろげる空間。
以前は都下のマンション住まいだったというN様。職場がかわったことから引っ越しを考え、都心の賃貸マンションなども巡ったそうですがなかなか決め手に欠き…。そんな時に友人から建築家との家づくりがとても楽しかったという話を聞いたことから、戸建の家づくりに興味が沸いたそう。自力での土地探しの後、さて設計をどうするかという段階で島田さんのお話を聞きにいき、その気さくな人柄に惹かれ、設計を依頼することにしました。
プランで特徴的なのが1階の「kotaルーム」です。南側に隣家があることから採光や視線の抜けが望めない事、駐車場をつくらないと決めた事を踏まえて、1ヶ所出っ張った下屋をつくり、それを挟むように東西に庭を分散。庭に面した窓とトップライトを設け、南に開かずとも光が降り注ぐ、緑に囲まれた魅力的な空間が生まれました。また窓側の壁と天井を板張りにした事で、まさにこの家を象徴する「小屋」のような、落ち着いた佇まいになりました。
家を住みこなし、暮らしを楽しむ。
お料理、山登り、洋裁、園芸など、多彩な趣味をお持ちのN様ご夫婦。取材時もご主人が一から作ったというスパイスカレーをご馳走に。プロ顔負けの本格的な味にスタッフ一同びっくりです。
そんなN様が家づくりの希望として島田さんに伝えたことは「家中を風が吹き抜け、きちんと料理をし、居間に集い、寝室でぐっすり寝る」といういたってシンプルなことだそう。家自体に多くを望むのではなく、暮らしは自分達でつくり、楽しむものと知っているからこその言葉なのではないでしょうか。
「とはいえ、細かな要望もたくさん伝えました(笑)。その都度島田さんがしっかりと検討し、真摯に応えてくださいました。島田さんとの綿密な議論と、作り手の徳武大工の丁寧な仕事も合わさって、住み始めてから違和感を感じる部分がないですね」とN様。竣工後には、家づくりの細かな過程とその時感じたことを一冊の本にまとめて、島田さんや関わった方達にプレゼントしたそうです。しっかり腹をわって話した信頼関係があってこそですね。
島田さんも「(N様は)やりたいことがはっきりしていて、設計をしていて楽しかったです。インテリアや暮らしの工夫を重ねながら自分達らしく家を【住みこなしている】のが素晴らしくて、インターンの学生を連れて見学させてもらったり、たまにお家でお酒を飲んだりと、交流が続いています」と笑顔に。
たくさんの趣味やこだわりを包み込み、住んで4年とは思えないほど、N様の暮らしになじんでいる『kotaハウス』。またこれからこの『kota』にどんな素敵な暮らしが加わっていくのか、5年後、10年後の変化も楽しみな住まいです。
Movie
【ルームツアー】緑と風と、猫と暮らす「kotaハウス」|しまだ設計室・相羽建設
東京のまちで、山小屋のような印象的な赤い屋根と板張りが印象的な家「kotaハウス」をしまだ設計室の島田貴史さんと訪ねました。
設計:しまだ設計室・島田貴史
施工:相羽建設株式会社
営業:豊福浩一
監督:新藤真宏
大工:徳武義訓
造園:ワイルドグリーン
撮影:西川公朗
撮影取材:島田 貴史(しまだ設計室)、伊藤夕歩・吉川碧 ・猪股恵利子(相羽建設)
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