人と自然をつなぎ、 持続可能な社会をつくる拠点


今回ご紹介するのは、中間支援組織として人と自然が共生する『みどりのまちづくり』に取り組む、特定非営利活動法人NPO birthの拠点「green sustainable base(グリーンサスティナブルベース)」。西東京市の住宅街の中、目の前に小さな水路と緑の草木が茂るビオトープが特徴の木造3階建てオフィスです。代表理事の折原磨寸男さんに拠点づくりの想いを伺いました。今から30年以上前、折原さんがボランティアで『緑の市民活動』をしていた際に、「緑を守るために人が集まって議論したりアイデアを出し合う場が欲しい」と考えたのが最初のきっかけだったそうです。後にNPO birthが発足し、年々事業が成長していく中で構想がより具体的となり、いよいよ2022年に拠点がオープンされました。




3つの「サステナブル」にチャレンジした拠点づくり

持続可能な社会づくりを推進する拠点として、大きなテーマとしたのが「居心地の良いオフィス」「アーバンネイチャー」「コミュニティ」という3つのサステナブル。環境配慮を考え、建物の構造は二酸化炭素固定量を意識した木造を選択。地産地消を重視し国産材も多く採用されています。接着剤もホルムアルデヒドが限りなく低いものを選び、壁は火山灰のシラス壁、天井は沖縄の月桃和紙など自然素材にこだわることで、働くスタッフが健康で快適に過ごせる空間となっています。





また、オフィスという役割だけでなく、地域の方との交流が深まるよう建物内にカフェスペースを設けたり、災害時には救助拠点にもなるよう建物の耐震・耐火性能は消防署と同レベルに。さらにライフラインの機能停止に備えてプロパンガスや雨水タンク、ソーラーパネルや蓄電池を設置するなど、まちの人たちのための拠点としても計画されています。


新しい拠点ができたことで、以前は事業ごとに分散していたスタッフが集いやすくなり、情報共有やコミュニケーションがとてもスムーズになったそう。「居心地の良い空間のおかげで、建物内は常に笑顔や笑い声に溢れています」とスタッフの方々もにっこり。近所の方から「いつからオープンするカフェですか?」と聞かれたり、お散歩中の保育園の子どもたちがビオトープを見て生きものや植物について話しかけてくれるようになったり、あたたかい会話が生まれるきっかけにもなっています。

仮眠スペースへ


「スタッフファースト」で働きやすい環境づくりへ
大きな窓から光を採り込んだり、視界に入る場所に植物を配置したり。仮眠場所の設置や、飲み物・お菓子にすぐアクセスできることなど、働くスタッフの健康と心身を満たすウェルビーイングな空間づくり。働く環境を整えることで自然と仕事が良い方向に進んでいく、というスタッフファーストの考えを大切にされています。現在は、大学などで環境保全を学んでも就職先が少ないという課題を解決すべく、若い人たちが活躍できる業態づくりや雇用機会の拡大を目指して、活動を広げているとのこと。「今後も市民起点で新しいものを生み出すアマチュアリズムの精神を失わず、スタッフが明るく楽しく働けて、出会いや安らぎ、アイディアが得られる環境を考えていきたいです」と折原さん。「人」を大事にすることが巡り巡って、より良い地域・自然環境をつくりだします。




建築概要
敷地面積:90.20㎡(27.29坪)
延床面積:181.07㎡(54.77坪)
構造:木造3階建て
設計・施工
設計:株式会社楓設計室
施工:相羽建設株式会社
担当
大工:山本 武史大工、阿部 昌行大工、佐久間 實大工
監督:橋詰 玄
営業:遠藤 誠
写真:NPO birth/相羽建設(伊藤 夕歩)
編集:吉川 碧



