住まいの実例100Life

しまだ設計室・太陽と森とハウス

木造一戸建て

しまだ設計室・太陽と森とハウス

森の緑と太陽の光が暮らしを優しく包み込む

場 所:
東京都東村山市
住い手:
A邸(ご夫婦・お子様1人)

Life

森、川、畑・・・規模は大きくなくともまだまだ長閑な景色が残る東京都東村山市。
そんな東村山の中でも春には満開の桜に囲まれる小川の近く、裏手に東京都緑地保全地域に指定された森を望む、まさに『理想の郊外の景色』の中に静かに佇むのが今回ご紹介するA邸です。

心に残る田舎の原風景と重ねて 静かな森の隣、木の家に暮らす

「実は家づくりは2回目で、今度こそちゃんと理想を描いて勉強をし、家づくりしたいなと思っていました。“理想”を考えたとき、幼い頃に田舎の親戚の家が大好きだったなと。田舎の原風景、昔ながらの木の家で家族がわいわい集まるような、そういう家にしたかった」とご主人。
通勤圏も考えつつも、高尾や八王子、遠くは相模湖周辺まで足を伸ばし、土地、中古物件を広く探したそうです。
並行して相羽建設に家づくりを相談いただく中で、自社分譲地としてご紹介したのが今回の土地でした。

「裏の森が静かでいいなと思いました。薪ストーブを入れたいという希望もあったので、もっと田舎の方がいいかなと思っていたのですが、ここなら実現できるかもと思いました」とA様ご夫婦。

理想を求め、こだわり抜いた“2度目の我が家”。家づくりの思い出や住んでみての感想、見どころをA様と設計者の島田さん(しまだ設計室)に伺いました。

時間や季節の移ろいを感じながら、リラックスできる空間に

島田さんへ設計を依頼しようと思ったのは、相羽スタッフ・遠藤の自宅【ミズニワハウス】(設計・しまだ設計室)のオープンハウスを訪れたのがきっかけだそう。

「島田さんの人柄が本当に素敵で。建築家の方へ依頼すると多少なりとも『家に生活を合わせる』部分があるのかなと思っていましたが、島田さんは私たちの希望に真摯に向き合ってくださり、階段や窓の位置の変更から家事室の細かな要望まで柔軟に対応してくださいました」とA様ご夫婦。

全ての要望を受け入れる訳ではなく、プロとしての意見を踏まえてしっかり意見してくれるところも、とても信頼できたところだそうです。

吹抜けの光、景色が主役のLDK。中央の丸テーブルは元々使っていた一枚板テーブルをリメイクしたもの
吹抜けの光、景色が主役のLDK。中央の丸テーブルは元々使っていた一枚板テーブルをリメイクしたもの
リビングにはしまだ設計室定番の「ほぼ正方形ソファ」 ゆったりと足を伸ばしてくつろげる特等席です
リビングにはしまだ設計室定番の「ほぼ正方形ソファ」 ゆったりと足を伸ばしてくつろげる特等席です
吹抜け部分は東側の太陽と森に向くように、斜め45度に壁、窓を振ったかたちに
吹抜け部分は東側の太陽と森に向くように、斜め45度に壁、窓を振ったかたちに

設計のコンセプトを島田さんに伺いました。

「A様とのお話で印象に残ったのが【時間や季節の変化を感じながらリラックスできる空間】という言葉です。これを受けて東側の森と空を最大限住まいに取り込みたいと考え、吹抜け部分の壁と大きな窓を斜めに傾け、真東に正対するかたちにしました。また吹抜けを中心にダイニング、リビングをL字型に緩やかに分けて配置し、ご夫婦+高校生のお子様という【大人家族】が居心地の良い空間にしました」

A様との打ち合わせについては、「ご家族のご要望は自分達の生活をしっかりイメージした上の意見でした。ご自身でも沢山勉強されて、色んな可能性を提示してくださる。土地の力+A様のキャラクターで面白い空間になったなと思います」と笑顔で語ってくださいました。

薪ストーブはご主人がセレクト(スキャンサーム製) 熱効率が良く煙も少ないそう
薪ストーブはご主人がセレクト(スキャンサーム製) 熱効率が良く煙も少ないそう
デッキスペース。天気のいい日はここでコーヒーを飲みながらほっと一息
デッキスペース。天気のいい日はここでコーヒーを飲みながらほっと一息
小窓から森の緑が覗く、凹んだ一角は読書スペースにぴったり
小窓から森の緑が覗く、凹んだ一角は読書スペースにぴったり
外の薪棚には、きれいに薪が積まれています
外の薪棚には、きれいに薪が積まれています

「広ければいいわけではない」 心の豊かさを実感するように

家族の居場所として、太陽と森に包まれる明るい1階と対照的に、2階は寝室、子ども室、浴室・洗面など、落ち着いたプライベートスペースです。

吹抜けに面した寝室は薩摩中霧島の左官仕上げとし、室内窓越しに陽の光、薪ストーブの暖気を感じる温かみのある空間。
入浴後に寝室のリラックスチェアで森と月を見ながらビールを飲む時間が至福だそうです。

吹抜けに面するもう一つの部屋はWIC&家事室に。
「ここを家事室にするには勿体無いという気持ちもありましたが、明るいし、薪ストーブの暖気で冬場でも洗濯物がすぐ乾く。スペースも広くて家事が本当に楽に、楽しくなりました」と奥様。

旦那様も、「この家は前の家より少々狭くなったんですが窮屈さを感じることは全くなくて、家は広ければいいわけではないと実感しました。光、緑、炎・・・と五感が刺激されて心が豊かになったと感じます。毎日早く家に帰りたいですよ」と笑いながら語ってくださいました。

吹き抜けに面したご夫婦の寝室も静かな別荘のような雰囲気。室内窓は障子と木戸で光、熱を調節できるように
吹き抜けに面したご夫婦の寝室も静かな別荘のような雰囲気。室内窓は障子と木戸で光、熱を調節できるように
乾燥機の下につけたスライドテーブルで、畳むのが楽に
乾燥機の下につけたスライドテーブルで、畳むのが楽に
洗面脱衣室のタオル収納もA様のアイディアです
洗面脱衣室のタオル収納もA様のアイディアです

田舎暮らしを理想に描き、たどり着いた郊外の木の家。
今は森越しに家々の灯りを見て、そこに人がいること、孤独感がないことにホッとする、と郊外暮らしの良さを感じているそう。

その言葉と笑顔に、きっとA様邸の大きな窓から漏れる優しい光も周囲の家々に安らぎを与えているのではないかと、真冬(2月)の取材中にほっと心温まったのでした。

小さな棚と六角形の手すりがアクセントの玄関。脇の小さな洗面スペースは水回りが2階のため手洗いとして重宝しています
小さな棚と六角形の手すりがアクセントの玄関。脇の小さな洗面スペースは水回りが2階のため手洗いとして重宝しています
夏場、エアコンの冷気を1階に落とす時に開けるという階段の小窓。断熱性能も良く、家全体が心地いい空気だそう
夏場、エアコンの冷気を1階に落とす時に開けるという階段の小窓。断熱性能も良く、家全体が心地いい空気だそう
吹抜けに面した部屋のひとつはWIC+家事室に。物を眠らせがちな小屋裏は設けず、WICに収まる物の量を心がけているそう
吹抜けに面した部屋のひとつはWIC+家事室に。物を眠らせがちな小屋裏は設けず、WICに収まる物の量を心がけているそう
薩摩中霧島の左官壁、タイル、ヒバ板張りと仕上げを分けた洗面脱衣室。さながらホテルのような高級感を感じる空間です
薩摩中霧島の左官壁、タイル、ヒバ板張りと仕上げを分けた洗面脱衣室。さながらホテルのような高級感を感じる空間です
東側の森から望む夕景。大きな窓から漏れる温かな光をみると、「家に早く帰りたくなる」というA様の言葉がふっと浮かびます
東側の森から望む夕景。大きな窓から漏れる温かな光をみると、「家に早く帰りたくなる」というA様の言葉がふっと浮かびます

設計
しまだ設計室・島田貴史

施工
相羽建設株式会社

担当
営業:相羽照美
現場監督:橋詰玄
大工:徳武義訓
造園:小林賢二アトリエ
写真:西川公朗(竣工写真)・伊藤夕歩
編集:猪股恵利子

仕上
屋根:ガルバリウム鋼板
外壁:杉板張り
内壁:薩摩中霧島壁・珪藻土紙クロス
床:杉無垢フローリング

敷地面積:113.83㎡(34.5坪)
延床面積:87.69㎡(26.6坪)

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