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つくる人
地域に根ざしたこだわりのパン屋さん、サンサンベーカリー
パンの魅力を一つひとつ丁寧に伝える、対面式のパン屋さん
- 話し手:
- サンサンベーカリー店主
田淵さんご夫妻 - 場 所:
- 東京都東大和市
People
東大和市、南街の商店街から一本はいったところにサンサンベーカリーはあります。
お店に入るとすぐ対面式のカウンター。ガラスケースのなかには、まるで美術作品のように美しく、おいしそうなパンがディスプレイされているのに目を引かれます。ベーカリーお決まりのトレイとトングはありません。
相羽建設とのお付き合いやつながり
田淵さんのお父様が設計事務所を営まれており、古くから相羽建設とはお付き合いをさせていただいていました。田淵さんとお父様の2世帯住宅や、弟さんのご自宅も相羽建設で工事を――そんな流れから、ベーカリー開業の際も店舗改修工事のお話をいただきました。
工程ではオーブンの電圧や店舗改修の難しさもあり、大変なこともありましたが、3年前ついに夢がカタチに。
「つくってからわかることもあるので、あとからこうしたいな、なんてこともちょっとありますけど…」と田淵さん。
店内はイラストレーターの芦野公平さんに依頼したという、なんとも素敵なご夫妻の絵が飾られていたり、友人の職人さんにお願いしてつくってもらったというショーケースカウンターもあったりと、手仕事を感じるあたたかみのある空間となっています。また、つながりのある作家さんの作品や、焼き菓子もおかれたりとパン以外にもあちこちみどころがあって、小さくても、ギュッと想いの詰まったお店です。
「ainohaを見て」「つむじ市をきっかけに」と、お店に来られる方や、地域の作家さんと活動される際に、その方々が相羽建設とつながっている場面も多く、様々なご縁を感じられているとのこと。
地元の食材をつかったり、知り合いの果樹園からの果物を仕入れたり、近所のタイ料理屋さんとのコラボのパンをつくったり、つながる人をとても大切にされている田淵さんです。
対面で丁寧に伝える
サンサンベーカリーは選んだパンをお店の人に伝えるスタイル。
「対面し、お話をしたり、説明をしながら選んでいただきたい」という想いから、お客さまが選んだパンをご夫婦お二人が取っていくスタイルは、以前修行をされていたパン屋さんと同じだそう。ひとつひとつのパンへのこだわり、想いを、親切に説明される姿から、パンを大切に作られている気持ちが伝わります。
「オススメはどのパンですか?」と質問すると「やはり食パンですね」とのこと。フランス人にはフランスパンがあるように、日本人は食パンの文化があり、リピートもしてくれる。大事にしたいパンのひとつだそうです。食パンを買ったらシールがついて、台紙に貼って集めると1斤プレゼント!なんてサービスも。食パンは別格扱い(?)ですね、笑
でもその他のパンも負けていません。中に入れるクリームやあんこなどなど、手間を惜しまず手づくりにこだわっているそうで、どのパンも、生地も中身もおいしく、なにを食べてもハズレがなく満足度が高い!食べるたびにいつもうなってしまいます。だからお腹の容量よりつい、ひとつ分くらい多めに買いすぎてしまうわたしなのです、苦笑。
パン屋開業のきっかけ
田淵さんご夫妻はともに武蔵野美術大学の工芸工業デザイン専攻時代からのお付き合い。
工芸家として、家具制作の道へ進むにあたり「工房を構え、傍らに作ったテーブルでコーヒーを飲めるなんていいなぁ。コーヒーを飲むなら、美味しいパンなんてあったらいなぁ……」と、そんな発想からパン屋さんの道へ進みはじめたというなんとも面白い流れ!
その後様々なパン屋さんで修行を重ね、東大和の土地でパン屋を開業し、今に至るそうです。
今となっては家具職人にはまったく「未練が無いですね」と、きっぱり。美味しいパンづくりを探求するのが楽しくてたまらないご様子でした。奥様も同じく工芸にはもう「未練が無いです。買う側で様々な作品をみているのが楽しいです」と、きっぱり!同じ答えと同時にステキな笑顔のご夫妻。仲睦まじいお2人と美味しいパンの香りで本当にあったかい雰囲気の店内、幸せな気持ちになります。
そうそう、名前の「サンサンベーカリー」は、英語表記にすると「SUN(太陽)SON(息子)BAKERY」。2人のお坊ちゃんのお名前には「太陽」がちなんでいるらしく、ここからとったそうです。響きも意味もとっても素敵ですね!
地域に根ざしたパン屋さんに
近くに児童館や小学校があるためか、取材中もたくさんの子どもたちがお店の前を通ります。学童保育のお迎えに来たおばあちゃんと、いつもの様子でパンを選ぶ女の子。いたずらな表情で親しげに外から手を振る男の子に、笑顔で手を振り返す田淵さん。こんな光景がサンサンベーカリーの日常。
いつも通る道に、いつものパン屋さん、サンサンベーカリーがある。きっと大人になっても多くの子どもたちの思い出の光景になるんじゃないかな~と、思いを馳せるとほっこりした気分になったのでした。
取材:あいばこスタッフ 小俣雅子
取材後記
サンサンベーカリーのインスタグラムも必見です。
わたしもフォローしていますが、美味しそうな写真とお誘い文句に、行けるものなら今から行きたい~!という気分にさせられます。
(記:あいばこスタッフ 小俣雅子)