住まいの実例100Life

「うつろいハウス」

建築家と建てる家

「うつろいハウス」

時と季節と居場所が移ろう家

建物名:
木造一戸建て(建築家と建てる家)
場 所:
東京都小金井市
住い手:
N邸(ご夫婦+お子様2人+猫2匹)

Life

上のお子さんの入学を前に家づくりを考え始めたN様。初めから注文住宅にこだわっていた訳ではありませんでしたが、周辺の不動産を探している際に偶然「カヅノキハウス」(しまだ設計室事務所/島田様自邸)を発見。HPで施工例を見たところ、ご夫婦ともに「こんな家に住みたい!」と意見が一致し、島田さんに設計を依頼しました。

時と季節と居場所が移ろう家

4年前の竣工写真
4年前の竣工写真
現在の様子
現在の様子

お子様の成長した後ろ姿と、緑が青々と茂った様子に、時の『うつろい』を感じます。ご主人が大切に育てているバラは目を奪われる美しさ。日々表情をかえる草木たちを存分に愉しめるアプローチです。

「家のなかに居場所を散りばめたい」

家づくりの希望として島田さんに伝えたのは「家のなかに居場所を散りばめたい」ということ。晴れた休日は外に出かけるということが多いので、「雨の日に家で過ごす時、飽きない家がいい」という思いがあったそうです。

食卓のある「緑の間」。出窓はサッシ枠がみえず、まるで庭の緑を切り取る額縁のよう。奥行きがあり、陽もたっぷり入る窓辺は2匹の猫くんの大好きな場所です。
食卓のある「緑の間」。出窓はサッシ枠がみえず、まるで庭の緑を切り取る額縁のよう。奥行きがあり、陽もたっぷり入る窓辺は2匹の猫くんの大好きな場所です。

そのコンセプト通り、2階には緑の間、光の間、炎の間、と名付けられた3つの間が設けられています。全体が緩やかに繋がりながら、それぞれの光の量や天井の広がりが違うことで、間を跨ぐと全く違う雰囲気に。同じフロアにいながら気分ややりたいことによって、家族それぞれが居場所を『うつろい』過ごせるような空間になっています。

全てを見渡せるコントロールタワーのようなアイランドキッチン。背面キッチンに吊戸棚は作らず、アイランドキッチンと奥の造作棚で収納量を確保しました。
全てを見渡せるコントロールタワーのようなアイランドキッチン。背面キッチンに吊戸棚は作らず、アイランドキッチンと奥の造作棚で収納量を確保しました。

「炎の間で子どもがゲームをしてるときに、緑の間で音楽をかけていても、お互いそんなに気にならないんです。あと、喧嘩したり機嫌が悪い時にも居場所がたくさんあって良いですよ」と笑いながら話すN様ご夫婦。
”絶妙な距離感が心地いい”。仲良し家族だからこそ、そのプランが活きる『うつろいハウス』です。

竣工当時の「炎の間」。開口を少し絞ることで、ペレットストーブの炎のゆらぎを感じられる、落ち着いた空間です。
竣工当時の「炎の間」。開口を少し絞ることで、ペレットストーブの炎のゆらぎを感じられる、落ち着いた空間です。
炎の間と対照的に開口が多く目一杯の陽の光を感じられる「光の間」。お子さんが小さい時は遊び場に、今はハンモックをかけてリフレッシュの場に。
炎の間と対照的に開口が多く目一杯の陽の光を感じられる「光の間」。お子さんが小さい時は遊び場に、今はハンモックをかけてリフレッシュの場に。
2階プラン(しまだ設計室より)。アイランドキッチンを中心に据え、緩やかに”間”を3つに分けている。それぞれを直角の壁で仕切らず、斜めの線で分けることで、空間に広がりが感じられる。
2階プラン(しまだ設計室より)。アイランドキッチンを中心に据え、緩やかに”間”を3つに分けている。それぞれを直角の壁で仕切らず、斜めの線で分けることで、空間に広がりが感じられる。

映画、音楽、写真 夫婦の趣味が彩る家

映画、音楽、写真・・・と共通の趣味がたくさんのN様ご夫婦。この家を表すような優しい音楽がレコードプレイヤーから流れ、ご主人が撮影した写真が空間を鮮やかに彩ります。

大判印刷されたご主人撮影の写真。 ピアノの前にあると、まるで窓のよう。
大判印刷されたご主人撮影の写真。 ピアノの前にあると、まるで窓のよう。
完成見学会の際にNさんがファンで家族ぐるみで親交のあるアーティストの池間由布子さんを招いてミニライブを開催。
完成見学会の際にNさんがファンで家族ぐるみで親交のあるアーティストの池間由布子さんを招いてミニライブを開催。

荷物置き場にしがちの天井高が低い小屋裏も、子供が寝てから夫婦水入らずで映画を楽しむ場所に。生活している中で3階に上がることは少ないので、特別感があるとのことです。

小屋裏はシアタールーム。壁いっぱいの映像でまるで映画館のような迫力。 天井高の低さによって、落ち着いて映画に集中できる空間に。
小屋裏はシアタールーム。壁いっぱいの映像でまるで映画館のような迫力。 天井高の低さによって、落ち着いて映画に集中できる空間に。

「時と季節のうつろいを映し出す庭」

「もともと園芸が大好きだった訳ではないんですが」と語るご主人ですが、多趣味&持ち前の探究心によって、見事なお庭を作り上げています。特に手をかけているのは約20種ものバラ。取材時の5月初旬にちょうど見頃を迎えたバラの気品のある美しさ、芳しさに、アプローチで何度も足を止めて見入ってしまいました。

斜めに長く配置されたアプローチの両脇にはバラを中心に様々な種類の植物。「主人は、夕方帰っても植物のチェックをして、なかなか家に入ってこないんです(笑)」と奥様 (撮影|N様)
斜めに長く配置されたアプローチの両脇にはバラを中心に様々な種類の植物。「主人は、夕方帰っても植物のチェックをして、なかなか家に入ってこないんです(笑)」と奥様 (撮影|N様)
植物や生き物に興味を持つ場にも
植物や生き物に興味を持つ場にも
インスタ(@milkolive)にはお庭写真がたくさん。「”庭友”が欲しいです(笑)」とご主人。
インスタ(@milkolive)にはお庭写真がたくさん。「”庭友”が欲しいです(笑)」とご主人。

「N様の家づくりに対する想いは人一倍で、”建主さんの想いを掘り起こして設計する”という設計スタイルを改めて考えるきっかけになりました」と設計の島田さん。ご夫婦のこだわりが行き届いた家や庭が、時の『うつろい』とともにどのように味わいを増していくのか、私たちも楽しみです。

竣工写真:西川公朗

取材後記

N様、島田様、取材協力誠にありがとうございました!(広報:猪股)

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