住まいの実例100Life

木造一戸建て
障子と絨毯が彩る、光あふれるモダンな家
新築にはない味わいと落ち着きが心地よい
- 場 所:
- 東京都小平市
- 住い手:
- I邸(ご夫婦+お子様1人)

Life
今回ご紹介するのは、9年前にあいばで新築した家を、セカンドオーナーとして住み継いだI様ご家族。
特に新築、戸建にこだわらず広く新居を探していたところ、東京R不動産で当物件を発見。実際に見学した際「ここをアトリエにできるかも」「理想の空間、暮らしが実現できるかも」と、具体的なイメージが湧いたことが決め手になったそうです。
また前オーナーがご夫婦、お子様ともに同年代で、家から自分たちの暮らしを楽しんでいる様子が伝わり「その汚れさえも気にならない」と感じるほど空気感が合ったことで、この家への愛着をより深めたそうです。
こうして家だけでなく豊かな時間も受け継ぎ「住まいの続き」を紡ぎはじめたI様。今回は、リフォームのコンセプトやこだわり、新しい暮らしの楽しみなどを伺いました。
吉村障子と絨毯が織りなす、繊細であたたかみのある空間
2階リビングに上がると、まず目に入るのは、建築家・吉村順三氏が考案した吉村障子。組子と框が同寸法で組まれ、閉めたときには一枚の障子のように見える、洗練されたデザインです。
「吉村障子と絨毯の組み合わせに以前から憧れていました。この家を検討するにあたってあいばの施工例を見る中で(吉村順三氏の流れを汲む)永田昌民さんの自邸が理想とぴったり重なったんです。さらに、あいばで吉村障子が施工できると知ったことも決め手になりました」と奥様。
理想の空間のイメージをしっかり持ちながら、新築ではなくリノベーションで実現するという素晴らしいバランス感覚をお持ちのI様。絨毯の色味やアトリエを仕切る本棚の割りつけなども、一つひとつ丁寧に考えたそうです。
こうして既存の味わいをそっと生かし、光や色、素材の重なりの中に、自分たちの感覚が静かに息づくリビングが生まれました。
今の暮らしについて【センス・オブ・ワンダー】と表現するI様ご夫婦。
「ある日、リビングにいた娘が『今日は雲の流れがすごく早いよ』と言ったんです。以前のマンションでは、空の変化を気にすることはありませんでした。他にも天窓から月が見えたり、裏の小川にカルガモの親子がやってきたり、庭の柚子を収穫してジャムにしたり…季節や生命力を身近に感じる機会が増えました」と、日々のささいな変化を楽しむI様。こうした一つひとつが、家にいる時間の豊かさとなり、この上ない幸せを感じているのだと語ります。
暮らしの中で混ざり合う さまざまな居場所
I様邸でひときわ印象的なのが、リビングの一角につくられたアトリエスペースです。かつて畳コーナーだった場所をコルク床に替え、背板のないオープンな本棚でゆるやかに仕切った、小さな創作の場。
「アトリエをどこに設けるか考える中で、他物件ではガレージを改装する案など色々検討したのですが、私にとってはキッチンとの行き来のしやすさが何より大事で。この間取りを見た時、リビングの一部をアトリエにできる、と直感したんです」と奥様は振り返ります。
好きなものや思い出の品を並べたアトリエは、どこか実家を思わせるような、心の底に触れるノスタルジーのある場所。しかし完全な【個室】ではなく、娘さんが自由に使ったり、家族の気配がほどよく届いたりすることも心地よいのだとか。ゆるやかに開かれたその佇まいが、I様の暮らしにしなやかな居場所の重なりを生んでいます。
一室空間の2階に対して、1階には寝室や書斎など家族それぞれの居場所が配置されています。かつて子ども部屋だった空間は書斎と主寝室に分け、寝室だった部屋は娘さんの新しい部屋に。どの窓からも緑が見え、その心地よさを日々感じているとご主人。
「敷地面積だけを見ればもっと大きな家も建てられたかもしれません。でも変形地だからこそ生まれた余白に、小さな庭の緑が広がっていて、本当に豊かです。【小さな家で大きく暮らす】という言葉がぴったり当てはまる家ですよね」と笑顔で話します。
居場所がゆるやかに混ざり合い、家族それぞれの時間を過ごす。窓の緑がそのつながりをやさしく支える、穏やかな空気の漂う住まいです。
設計施工:相羽建設株式会社
担当
設計:松本翔平(新築時)
営業:遠藤誠
工事:土屋 晃(改装時)
撮影・取材:伊藤夕歩 ・猪股恵利子
●建築概要
敷地面積:120.17㎡(36.35坪)
延床面積:86.12㎡(26.0坪)




