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社員大工として高め合いながら目指す、それぞれの未来像

現場の職人

社員大工として高め合いながら目指す、それぞれの未来像

ゲンバ女子がゆく!こんにちは、職人さん!|第1弾

話し手:
相羽建設 社員大工
本多忠勝さん・小林優太さん
建物名:
AIBAワークス(加工場)
場 所:
東京都東村山市

People

あいば女性監督(ひぐち・あそう・こいで)がお送りする職人さんインタビュー企画!大工さんをはじめ多くの職⼈さんが携わっている相⽻建設の家づくり。様々な職人さんたちのお人柄をご紹介していきます。
今回ご紹介するのは、相羽建設社員大工の本多忠勝さん、小林優太さんです!

今の仕事を始めたきっかけは?

ひぐち)二人が大工さんになったきっかけは?

本多)親父が大工をやっていて相羽建設のパートナーとして働いていたから、せっかくならやってみようかなと思って相談した。顔合わせで初めてベテラン棟梁の秋山さんに会った時、オーラがあって「ああいう大工になれるように頑張りたいな」と思った。大工の仕事は、嫌いだったら無理だけど、すごく好きではなくても続けられるようなやりがいを感じる。

小林)大学の建築学科を出て、最初は就職活動して現場監督をやろうかなと思っていたけど、たまたま友達が大工でインターンに行くっていう話を聞いて、どうせやるなら現場最前線でも良いかもしれないと思って興味本意でついていったことがきっかけかな。

左:本多忠勝大工、右:小林優太大工
左:本多忠勝大工、右:小林優太大工

ひぐち)実際に大工をやっているうちに、さらにやりたいことは出てきた?

本多)難しい現場を器用にこなすというよりは、一緒にやっている仲間の適正を汲み取って「あなたはこの部分をお願いします」みたいな感じで役割を振ったり指示を出す方が得意。仲間と現場をうまくまわすことが好き。

小林)やっぱり秋山さんを目指すってことは、弟子を育てたり周りを巻き込む力があると思うから、本多くんがそういうところを目指すのは合っていると思う。

何人もの若手大工を育成してきたベテラン大工の秋山棟梁
何人もの若手大工を育成してきたベテラン大工の秋山棟梁

本多)いつかはサッカーできるくらいの総監督になれたらいい(笑)。でもやっぱりある程度自分も仕事ができないと周りもついてこないから頑張らなきゃなと思う。自分がだらけてたらみんなも投げ出しちゃうし。でも、みんなに頼っている分、自分の得意な段取りを組んだり、次の日の準備をしたり、材料を確保したりってところでカバーするようにしてる。そのやり方が自分にあってると思う。

ひぐち)とのことですが、小林くんどう?

小林)良いこと言うな〜って(感心)

本多)でも優太さんとやる時は優太さんのやり方があるから合わせる。年齢も上だし、段取りを組むって言うのは優太さんを見て学んだところがある。元々は工期を逆算したりできなくて流れでやってたけど、優太さんは「いつまでにここまで進めて、この工期でやって行かないと終わらない」って言うのを頭で考えてやってたし、カレンダーに記入して見える化してくれていた。それで俺もカレンダー書こうかなって学んだ。

ひぐち)そう言ってもらえてどう?

小林)そりゃ嬉しいですよ。これで一記事くらいできたかな?(笑)

インタビュー担当の現場監督の樋口(ひぐち)
インタビュー担当の現場監督の樋口(ひぐち)

仕事のモチベーションは?

ひぐち)次はモチベーションについて教えてください。

小林)モチベーションはとくに無くて、手を動かすことに集中してるから、ある意味仕事をこなすためにやってる感じかな。それをずっとやり続けるために頭をまわす。

本多&小林)やっぱり疲れるよね。

本多)優太さんの場合は性格がしっかりしているから、その日にやるって決めたことが終わるまでは終わらせない。俺の場合は、一緒にやっている後輩もまだ思うようなスピードでは動けないから「まぁいいやしょうがねえ!明日があるさ!」っていうのを毎日続けている感じ。

小林)本多くんの現場は周りの人がイキイキ働く印象。この前担当していたアパートの工事も、若手からベテランまでいろんな働き方の人が入っている現場だったけど、それでもまとまって仕事できたのは棟梁としての力だなって思う。相手の意見があるけど、会社のルールはこう。とか、周りの意見を聞きながら臨機応変に対応していく力が本多くんは優れていると思う。

ひぐち)本多くんの現場は明るいよね。本多くんの人柄だね。

小林)メリハリがあるよね。ずっと集中力を保つのって難しいけど、一服の時にくだけた話ができたり、そういう切り替えがうまい。現場全体でうまくできてる。

ひぐち)本多くんから見た小林くんの性格は?

本多)ずっと言ってるけど真面目。ほんとに真面目(笑)

小林)硬いからね。あまり融通がきかなくて(苦笑)。

本多)でも優太さんの真面目さは完全に伸ばして突っ走るべきものだと思う。それに対してみんなが動くだろうし。俺は「こっちの方が良いんじゃない?」とか言われたら「じゃあそっちでお願いします!」みたいになって俺が折れちゃうから、棟梁ってそういう時のこだわりが大事。その現場にその棟梁らしさが出るように、優太さんの場合はまず現場が綺麗で整理整頓されてる。収まりの綺麗さとかも「ほんとに仕事してる?」っていうくらい綺麗で、それを見て一緒に働いてる人にも「綺麗にしなきゃな」っていうプレッシャーを与えられる。俺も、自分の現場で緊張感と言うかプレッシャーを与えられるようにしないといけないって思う。優太さんと俺はそう言うところが全然違う。

小林)でもそういう緊張感って年配の親方と比べたら俺らなんて全然あまちゃんって言うか、ベースがゆとり世代だしね。

本多)そうね。考え方って言うか、育ち方がゆとり。

小林)親方たちの時代はなかなか仕事させてもらえなくて、目で見て盗んで「いつかは超えてやる」みたいな反骨精神と向上心で育ってる世代だから、それに比べたら自分達は教えてもらえる環境の中で仕事ができていると思う。でもそれだけじゃダメだとわかってるから、こうやって社員大工同士で切磋琢磨しながら向上心持ってやらなきゃなって気持ちはどこかにある。それをどうやって後輩に伝えていくか考え中。

仕事のこだわりポイント

ひぐち)お客様に見せたい、こだわりポイントってある?大工さんの仕事って下地に隠れてしまうところも多いと思うけど、現場に来たら「ここを見てほしい!」というところ。

小林)強いて言うなら「気密施工」だけど、それってあまり大工っぽく無いよね(笑)。ただ、やっているかやっていないかが明確に数値として出るところでもある。そこって多分他所の大工さんではできる人は少ないし、性能が悪いと実際の建物として担保できないから、これからもこだわってやっていきたいポイントです。

ひぐち)ここを見ると違いがわかるよ!みたいなところはある?

本多)それはもう建具だよね。枠を取り付けてドアを閉めた時に、空いてる場所が均等になっているかとか。でも細かいところはたくさんあって、ちっちゃなところにどこまでこだわっているかがクオリティーに響くところ。現場にはいろんな大工さんが来るけど、熟練の大工さんがやったところは一目見てわかる。

小林)見えるところは誰がやっても結構同じ。なぜならそう図面に書いてあるし、そうやらないと納まらないようになっているから。ただ、ビス一本、釘一本の打ち方すら人それぞれ。施工の仕方にこだわりが出る。

本多)綺麗か綺麗じゃ無いかっていうのはあるよね。

ゲンバファッション

ひぐち)現場ファッションのこだわりはある?

小林)ベストはいつも着るかな。前の会社の仕様で染み着いちゃっているのとポケットを使いたいから。服はワークマンで買ってます。

本多)自分は無いです。動けて仕事ができればいい。あと私服で着なくなったものやジーパンとかも履く。こだわりがなさすぎて朝起きてあったものを着る。汚れる仕事の時はエプロンをするけど、それも子どもと釣りに行った時に着てた服が汚れたくなかったからワークマンで買ったやつをそのまま使ってます(笑)

小林)逆にいつでも仕事できちゃうね(笑)

本多)あ、でもそれがこだわりかも。あの服が無い時はこの作業ができないとか、そういうのが嫌で、これ使えばなんとかなるじゃん!って使い回しができるようにしてる。道具も同じく。

エプロン姿が似合う本多大工
エプロン姿が似合う本多大工
本多大工のデニムエプロン
本多大工のデニムエプロン

ひぐち)腰袋の中も見たいな!

小林)自分のはポケットのサイズとかで決めた釘袋で、左右それぞれの手で取りやすい位置にほしい道具があるようにカスタムしています。この中で一番使うのは「げんのう」かな。

ひぐち)腰袋の中って人によって結構違うもの?

本多)全然違う。腰袋が一番個性出るよ。

小林大工の釘袋
小林大工の釘袋
釘袋の中身
釘袋の中身

お客様とのエピソード

ひぐち)お客様から言われて嬉しかったことは?

本多)まだ自分が棟梁やる前の話だけど。竣工後にたまたま家の前を通ったら子どもが庭でトランポリンをやっていて、声をかけたらすごい喜んでくれて。「また遊びに来て」って言われた時は、家をつくるってこういうことだなと思った。良い仕事をしたからこその関係性かなって。

小林)工事中に現場にお客様が来て感心しながら現場を見てくれている時に、この人たちのために家をつくってるんだな〜って、気持ちが引き締まる感じがある。

本多)あと手紙もらったりね。「子どもが遊びたがっているので」って。そういうのは嬉しかったよね。

職人として目指す姿・これからの目標

ひぐち)将来はどんな大工になりたい?

本多)監督とか、段取りを組む方にいくのはアリかなと思う時はある。自分が鈍臭くて、今思い返すとなんでこんなミスをしたんだろうみたいな間違えもあるけど、第三者として意見を言うのは得意だからそういう仕事もしてみたい。AIBAベテラン監督の渡邉さんみたいな。良い目標でしょ?渡邉さんのすごいところは、現場に来てすぐに「ここ水平じゃ無いよ!ちょっと測ってみて」ってわかること。

小林)そうだね。自分の中では具体的に誰を目指してるとかは無くて、大工が好きだからベースは大工でいたいけど、監督にも興味はある。設計まで行かなくても、もっと広い視野で建築に携わってみたいっていう気持ちはあるかな。「自分がつくった」って言えるところを増やしていきたい。自分はチームプレイヤーというよりは、どちらかといえばソロプレイヤーかも。

本多)その気持ちはある。みんなで仲良くやっていきたいっていう想いもあるけど、その中でずば抜けたいっていう想いもある。そうじゃ無いとこの世界でやっていけない。そのための表現の仕方や通る道が違うだけで、目指しているところはある意味同じかもしれない。

これまで数々の現場を管理してきた、ベテラン現場監督の渡邉
これまで数々の現場を管理してきた、ベテラン現場監督の渡邉

若いヤツらに一言!

ひぐち)じゃあ最後、後輩に向けて一言!

本多)一緒にがんばりましょう!あと、ちゃんと俺のことを支えてください(笑)。双方がいないと現場は成り立たないからね。

小林)やりたいことには一生懸命向き合ってほしい、そのくらいかな。学ぶことっていっぱいあるから貪欲に向上心持ってやってほしいな。

本多)もっと突っかかって来てくれて良いよね(笑)

小林)うん。もっと反骨精神持ってやってもらって。あと10年くらい経ったら3、4年の差なんてそんなに変わらないから「抜かしてやる」ってくらいの気持ちで来てほしいかな。自分も負けないように頑張るし。みんなライバルだからね。

Thank you for the interview

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